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しろばなのあさがお
白花の朝顔
泉 鏡花
「週刊朝日 第二十一ノ十六号(春季特別號)」1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,880 字 · 62 页
お睦じい?……」
と、バタリと畳へ手をつくと、浴衣の蔦は野分する。
「何をいってるんです。」
「おいらんは何て方?……十六夜さん、三千歳さん?」
「薄雲、高尾でございます。これでもそこらで、鮨を撮んで、笹巻の笹だけ袂へ入れて振込めば、立ちどころに仙台様。――庭の薄に風が当る。……
――寂しいな、お洲美さん、急に何だか寂しい気がする、仙台へ行ってしまわれては。」
「ですけどね、あの、ほかの世話はかまいませんけど、媒妁だけは、もう止してね。」
と、眉が迫って見据えるのです。
「媒妁?」
「――名はいいますまい、売ッ子ですよ。私たちのお弟子なかまではありません。別派、学校側の花形で、あなたのお友だちの方に――わかりまして……私を、私をよ、嫁に、妻に世話しようとなすったのは誰方でした。」
「そ、それは、しかし、勿論、何だ。別派、学校側の……可。……その男が、私を通じて、先生まで申出てくれと頼まれたものだから……」
「お料理屋へ私をお呼び下すって……先生が、そのお話を遊ばしたんです。――境が橋わたしの口を、口を利いた、と一言……一言おっしゃるのを聞いた時、私、私……」
「お待ちなさい、待ちたまえ。