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しろへびのし
白蛇の死
海野 十三
「新青年」博文館、1929(昭和4)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,881 字 · 24 页
然し二三日後、喜多公がやっと口を開いた時には、こんな意外な陳述がされていた。
「実は、あっしは姐御、詰りお由さんに想いを掛けていたのです。で、幾度も気を引いて見ましたが、なかなか思うようにはなりませんので、あの日、灯が点くと間も無くお由さんが泊り掛けで根岸へ行ったと聞きましたので、あっしは根岸の家の番地を人知れず確しかめて、お由さんの後を追って行きました。根岸へ着いたのは八時頃だったと覚えています。所が何うしても此処と思う家が見当りませんので、今度は一軒一軒裏口へまわって、お由さんの声を目当に探し廻りましたが、矢っ張り知れません。その中に十一時半になってしまいましたので、何んだか急に馬鹿馬鹿しくもなって、其の足でぶらぶら歩いて引っ返し、千住の万字楼という家へ登って花香という女を買って遊びました。登ったのは多分十二時半か一時頃でしょう。翌朝其処を出たのは六時半頃です」
「何故又そんな事を今まで隠していたんだ」
「へッへ、姐御の後を附けたなんてうっかり言っては、飛んだ嫌疑が掛かると思いましたんで――」
警察では直ぐに万字楼を調べて見たが、大体彼の言った事に相違はなかった。