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しらがこぞう

白髪小僧

杉山 萠円

「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页

青空文庫

お前の願いは今叶った。

行け行け、街に行け。

たった独りで街に行け。

この広い街中で一番長く生きている。

白髪頭の人に聞け。

不思議な姿の人に聞け。

その人の身の上話しを……

悧口な美留女姫。

賢い美留女姫。

疑うな、怪しむな、夢でない、本当だぞ。

疑うな、怪しむな、夢でない、本当だぞ」

美留女姫はこの時やっと吾れに帰って、夢から覚めたように思いながら、鸚鵡の言葉を一心に聞いていた。そうして心の中で、この不思議な鳥の言葉を、驚き怪しみながらも亦、その云う事が決して偽りでも出鱈目でも何でもなく、本当に珍らしい話しを聞くのに、一等都合の宜い巧い工夫を教えている事が解かって、心から感心した。成る程この街で、一番珍しい奇妙な風体をしている、一番長生の白髪頭の老人を見付け出して、その人の身の上話しを聞かしてもらえば、屹度面白い新規の話を聞く事が出来るに違いない。又仮令そんな人でなくとも、身の上話しならばどんな人を捕まえても、十人が十人違っている筈だから、同じ話を二度聞かされる心配はない。そうしてその御礼には、書物を一冊買うだけのお銭を遣れば、貧乏人等は喜んで話して聞かせるに違いないと、こう考え付くと美留女姫は、最早一秒時間も我慢が出来なくなった。