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しらがこぞう

白髪小僧

杉山 萠円

「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页

青空文庫

が心配そうにうろうろしています。

青眼はこの有様を見て、腰を抜かさんばかりに驚きましたが、兎も角も紅矢の家から使いに来たものに頼んで、二人で紅矢を自分の寝台に運び入れて、すっかり裸体にして血を拭い清めて、傷口を調べて見ますと、案外に傷は浅くて、ここ一週間も経ったら癒りそうです。只胸と頭を非道く打ったと見えまして、全く気絶して呼吸も通わず、脈も打たず、身体は氷のように冷たくなって、唇は紫色になっていました。けれどもお使いの者が「瞬」に乗って帰って、取るものも取り敢えず紅矢の両親を連れて来ました時には、紅矢は青眼先生の上手な介抱と、良い薬の利き目とで呼吸を吹き返して、スヤスヤと静かに眠っていました。

これを見ると両親は、又もや一人小供が生れたように喜んで、嬉し泣きに泣きました。そうして今更に青眼先生の介抱の上手なのに感心をしまして、紅矢のみならず私共の生命の親と云って深く深く御礼を申しました。

十七 銅の壺

紅矢はその夜家の者に担がれて、自分の家に連れて行かれましたが、大層熱が高くて平生の自分の寝床に寝かされても、まだ夢中でうんうん唸っておりました。