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しらがこぞう
白髪小僧
杉山 萠円
「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页
美紅に化けて兄様に大怪我をさせて、今度は海の女王に化けてこの国の女王になりに来たのか。事に依るとこの妾を咀うて、妾が女王になるのを邪魔しに来たのかも知れぬ。それに違いない。それに違いない。吁。妾の家はどうしてこんなに悪魔と縁が深いのであろう。何という執念深い悪魔であろう」
こう思うと濃紅姫は、今まで美しい妹そっくりの少女であった男姿の海の女王が、角を生やして口が耳まで裂けた悪魔の姿に見えて来て、恐ろしさの余り気が遠くなりそうになりました。そうしてその海の女王が、王様の傍近く進み寄って、女王の冠を戴いているのを見ると、さしもの大広間が大勢の人々と共にぐるぐるとまわるように思われました。そしてやがて皆の者が、一時に手を挙げ足を踏み鳴らして――
「陸の大王様万歳!」
「海の女王様万歳!」
と割れるように叫びますと、濃紅姫は思わず声を挙げて――
「海の女王は悪魔です」
と叫びましたが、可愛そうにその声は大勢の声に打ち消されてしまいまして、それと一所に濃紅姫は、あまりの恐ろしさに気絶して、床の上にたおれてしまいました。
二十一 死の夢
それから何日経ったか、何時間経ったか知りませぬが、濃紅姫は不図気がついて眼を開いて見ますと、自分はいつの間にか、今まで見た事もない美しい室の真中に寝台を置いて、その上に白い布団に