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しょうせんでんしゃのしゃげきしゅ
省線電車の射撃手
海野 十三
「新青年」博文館、1931(昭和6)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,355 字 · 45 页
案内されて、室へ静かに姿をあらわした笹木光吉は、三十に近い青年紳士だった。色は黒い方だったが、ブルジョアの息子らしく、上品ですこし我が強いらしいところがあった。
「飛んだ御迷惑をかけまして」と大江山警部の口調は丁重を極めていた。「実は部下のものが、こんなものを(と、二個の薬莢と一個の弾丸を示しながら)拾って参りましたが、薬莢の方はお邸の塀下に落ちて居り、弾丸は、ここに地図がありますが、線路を越してお邸の向い側にあたる草叢から拾い出したのです。お心あたりはございませんか」
そう云って刑事は、白い西洋紙の上に、三品をのせて差し出した。多田刑事は、課長の出鱈目に呆れながら、青年の顔色を窺った。
「一向に存じません」と笹木はアッサリ答えた。「指紋が御入用なら、遠慮なく本式におとり下さい」
大江山警部は、笑いに、赭い顔を紛らせながら、白い西洋紙をソッと手許へひっぱったのだった。
「九月二十一日の午後十時半には、どこにおいででしたか、承りたい」
「家に居ましたが、もう寝ていました。私はラジオがすむと、直ぐ寝ることにして居りますから……」
「おひとりでおやすみですか」