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しょうせんでんしゃのしゃげきしゅ

省線電車の射撃手

海野 十三

「新青年」博文館、1931(昭和6)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,355 字 · 45 页

青空文庫

創管は心臓を掠って背中へむけています。カンフルで二三時間はもっているかも知れません」と医師が言った。

「意識は恢復しないかネ」

「むずかしいと思いますが、兎に角さっきから手当をしています」

「輸血でもなんでもやって、この女にもう一度意識を与えてやってくれ」警部は、紙のように真白な赤星龍子の顔を祈るようにみてそう云った。

「多田君、田舎者の爺さんというのは、どこに居るか」

「はァ、そこに居ますが……」そう云って多田刑事は車内の連中の顔をみまわしたが居なかった。刑事は狼狽して、一人一人を訊問した。その結果、仕切の小扉をひらいて後の車へ行ったのを見たと云った者がいた。驚いて後の車を尋ねてみたが、田舎者の爺さんなんか、誰も見たものがないというのだった。

「なに、どこにも見当らないって」その報告をきいた大江山警部は、鈍間な刑事を殴りたおしたい衝動に駆られたのを、やっとのことで我慢した。

「課長どの、こういう方がお目にかかりたいと仰有いますが」と部下の一人が、一葉の名刺を持って来た。とりあげてみると、

「私立探偵。帆村荘六」

大江山警部は、帆村の力を借りたい心と、まだ燃えのこる敵愾心とに挿って、例の「ううむ」