轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちちぶきこう

知々夫紀行

幸田 露伴

「太陽」博文館、1899(明治32)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,784 字 · 31 页

青空文庫

昼餉を終えたれど暑さ烈しければ、二時過ぐる頃ようやく立出ず。

四方の山々いよいよ近づくを見るのみ、取り出でていうべき眺望あるところにも出会わねば、いささか心も倦みて脚歩もたゆみ勝ちに辿り行くに、路の右手に大なる鳥居立ちて一条の路ほがらかに開けたるあり。里の嫗に如何なる神ぞと問えば、宝登神社という。さては熊谷の石原にしるしの碑の立てりしもこの御神のためなるべし、ことさらにまいる人も多しとおぼゆるに、少しの路のまわりを厭いて見過ごさんもさすがなりと、大路を横に折れて、蝉の声々かしましき中を山の方へと進み入るに、少時して石の階数十級の上に宮居見えさせ玉う。色がらすを嵌めたる「ぶりっき」の燈籠の、いと大きくものものしげなるが門にかけられたるなど、見る眼いたく、あらずもがなとおもわる。境内広く、社務所などもいかめしくは見えたれど、宮居を初めよろずのかかり、まだ古びねばにや神々しきところ無く、松杉の梢を洩りていささか吹く風のみをぞなつかしきものにはおぼえける。ここの御社の御前の狛犬は全く狼の相をなせり。八幡の鳩、春日の鹿などの如く、狼をここの御社の御使いなりとすればなるべし。