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いしべいゆうれい
石塀幽霊
大阪 圭吉
「新青年」1935(昭和10)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,907 字 · 26 页
そしてその奇蹟を発見けた犯人が、そ奴を利用して故意に君達証人、特に郵便屋のように一定の時刻にきっとあの辺を通る男の面前で、巧妙な犯罪を計画したんだよ。あ、どうしたんだ。君。頭が痛むのかね? いや、尤もだ。あの石塀の奇蹟に就いては、確かに不可解なことがあったんだ。もう、大体の見当はついてるんだが、一寸説明した位では迚も信じられまい。もう二三日待って呉れ給え。兎に角僕は、これから一寸警察へ行かなくちゃあならん――」
さて、青山喬介が雄太郎君の頭痛の種を取り除いて呉れたのは、それから三日後のことだった。
その日は恰度あの惨劇の日と同じようにひどく暑い日だったが、喬介と雄太郎君と蜂須賀巡査の三人は、午後の二時半の灼くような炎熱に打たれながら、秋森家の横の道路を歩いていた。が、やがて例の曲角まで来ると、喬介が云った。
「これから実験を始める。そしてそれは大丈夫成功するつもりだ。――僕達はいまからこの石塀に沿って、あの表門の前の、被害者の倒れていた位置まで歩いて行くんだ。そしてその位置についた時に、僕達の前方に、ポストが、あの見えない筈のポストが、若しも見えて来たなら、それで奇蹟は解決されたんだ。