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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

それは兎に角、最近妥協案が作成され、夫が両大学に対して勧告の形で示されたが、その結果はまだ判らない。悪くするとリーグ自身が、逆に早稲田辺から責任を問われる破目に陥るかも知れない。実際、大事なのは早稲田と慶応とであって、リーグ当局などは両大学の寄生虫のようなものかも知れない。この寄生虫が権威を有っていられる間が「スポーツマンシップ」の存在する期間で、この権威が両大学に移り始める時は、スポーツマンシップという得体の知れない幻影が正体に返る時である。その時こそは問題が高田閥とか三田閥とかいうものにまで純化される時なのである。

警視庁などでは、応援団を金網に入れることを研究しているそうだから、スポーツマンシップを出来るだけ早く、こういう具合に純化して了わないと、応援団は気の毒にも金網に入れられて了う運命に見舞われるだろう。

二、野犬狩りの真理

応援団より気の毒なのは併し、野犬諸君である。ある二人の外国人の女が、帝都の野犬(?)を満載した三河島行きのトラックの前に立ち塞って、その犬を皆んな買います、と怒鳴り立てていたという事件がある。自分の飼い犬が見えなくなって百方手を尽してさがしていた処、幸いにもその犬が帰って来たのはいいが、首輪の代りに犬殺しの針金が首にまきついていたのだそうである。