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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
こう見て来ると満州帝国位いムツかしい国はない。読者は多分、満州をどうやって統治するかという問題で皆が提案に苦心しているのだとウッカリ考えるかも知れない。だが無論それは途方もない心得違いなのである。外国ではどういうわけかあまり同意を表せず、偶々サルバドールという国のあることが判ってそれが賛成した程度だが、併し満州は現に歴然たる独立国で、而も大事なことには、神聖な帝国だということを、何遍も云うが、忘れてはならぬ。この独立国を如何に統治(?)するかという問題だから、問題は不思議にムツかしくなるのである。ウッカリ羽目をはずすといつの間にか植民地のように考えられて総督などを置きたくなるし、思い返して独立国並みに大使を置かなくてはならぬとも考えて見る。××を出さずに満州国を正当に認識するということは決して容易しいことではない。
実は併し、問題を解決する一つの原則が初めからあったのである。大日本帝国が満州帝国に期待するものは、「友邦」としての友誼なのである。と云うのは、満州の軍事上の絶大な価値だったのである。有利な予想戦場として、又戦時資源として、満州は戦略上の宝庫だということは誰知らぬものもない。