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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
三、交叉点
東京で、現職の巡査が、巡査という地位を利用して、管内の人妻と通じているのを、その夫に見つけられて、他の交番でつかまったという出来ごとがある。それから暫く立って岡山県に之も現職巡査の銀行ギャング事件が発生した。制服を着用して支店長に金庫へ案内させておいてその支店長を絞殺して三万円あまりの金を取ったという事件である。三月以降警視庁管下だけでも、現職巡査が拐帯、泥酔暴行、賭博現行、収賄、等々で挙げられたのは七八件に止まらないのである。之では全く警察の威信が疑問にならざるを得ないだろう。世間では之を警官の「素質低下」によって説明出来ると思っているらしいが、それにどれだけの実証的な根拠があるか知らない。警官の素質が低下するのは、一体好景気の結果だと考えられるが、この頃のような不況時代には、却って警官の素質は良くなっている筈ではないかと思う。素質は良くなっているのだが、素質をよくした不況というこの同じ原因が、良い素質にも拘らず警官の各種の犯行を産んでいるのではないかと思う。泥棒やスリが増えるのと××して、××の犯罪者だって増すだろう。巡査と犯人とは決して××な存在ではないのだ。