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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
もし優勝でもしようものなら入学者の数は眼に見えて増すかも知れない。たとい負けても、名も知れないような大学の学生よりも、肩身の広いカレッヂボーイになった方が、世間でモテルから、自然入学もして見たくなる。リーグ戦のおかげで、こうした大学は世間的に非常に尤もらしくなることが出来る。そうなって営業が楽になれば、やがて多少は金の高い教授も雇うことが出来るわけで、大学の一切の価値はリーグ戦から決まってくるようなものだ。
わが「制服のマネキン」諸君を獲得するのには、だからどの大学も有形無形な大変な骨折りをしているのは当然で、文部省のお役人と甲子園の英雄諸君とは、この五大学リーグ戦加盟の大学が、最も恐懼している存在なのである。
併し法・明・立の諸大学は何と云っても、精々おこぼれを頂戴しているに過ぎない。本体は早稲田と慶応とにあったので、この二つの大学に取ってはリーグ戦は全く死活問題なのだ。有力な多数の先輩を有っているこの二大学、即ち財閥を直接背後に持っているこの二大学は、財閥の手前から云ってもリーグ戦はおろそかに出来ない義理がある。それが学生の意識に反映すると例の勇敢な大応援団が出来上る。