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そぼ
祖母
楠山 正雄
「赤い鳥」1921(大正10)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,258 字 · 7 页
」
「ああ。」
いつもになく一雄が食べたそうな様子をしているので、おばあさんはどんなに喜んだでしょう。
その日の夕方(ゆうがた)、一雄が茶の間の隅(すみ)っこで、いつまでかかってもほんとうに出来ない積木細工(つみきざいく)のお家(うち)を建てたり、こわしたりしている間(ま)に、おばあさんはせっせと玉子焼のしたくにかかっていました。
明りがついて、お膳が出ると新調の可愛(かあい)らしい玉子焼のお鍋が、一雄の小さなお膳の上にのっていました。
「ほら、あけてごらん、それはおいしそうに出来たから。」
一雄が瀬戸物の蓋(ふた)をあけると、ぷんとやわらかな少し焦げくさい、旨そうな匂(にお)いが立ちました。
「まだあついかしら。」
こういいながら、めずらしくにっこりして、一雄は玉子焼の中に箸を突ッ込みました。
おばあさんもにこにこしながら、
「ああ、ゆっくり、たんとおあがりよ。」といいました。
でも一口(ひとくち)、玉子焼を口に頬(ほお)ばると、一雄は急にいやな顔をして、すぐはき出してしまいました。
「ああ、臭い、僕いやだこれ、お酒くさいから。」
一雄は泣き出しそうな顔をしていました。