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かみだな
神棚
豊島 与志雄
「新潮」1923(大正12)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,427 字 · 44 页
……こうなったのも松尾の奴のお蔭だ。」
池部はじっと俺の顔を覗き込んできた。また何か計画んでるんだな、と俺はすぐに感じたが、彼の言葉は意外な方面へ飛んでいった。
「君はあの後笹木に逢ったことがあるか。」
「ねえよ。」
「実はね、笹木の奴が松尾と共謀だったんだぜ。」
「え、笹木が!」
「そうさ。立派な証拠があるんだ。」
「どんな話だい?」
「どんなって、いろいろあるがね、初めの起りは、浅井が笹木の所へ金を借りに行ったことからなんだ。笹木が或る小さな印刷所を――端物専門のちっぽけなものだが――その株を買って一人で経営してるっていうのを聞き込んで、ついのこのこ出かけていったものさ。行ってみると、手刷の器械が一二台あるだけで、まるで商売にもならないくらいなものなんだが、云うことが大きいや、ゆくゆくは大規模な印刷会社に仕上げてみせる、そうなったら、君も俺の所で働いてくれってさ。馬鹿にするないって気に浅井はなったそうだが、ちょいちょい言葉尻を考え合せてみると、どうしてなかなか、まんざらの法螺だとも聞き流せねえふしがあるんだ。……がまあそれはそれとして、浅井は少し借りてえときり出したのさ。