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わたしのかんそう

私の感想

宮本 百合子

「信濃毎日新聞」(三「代用食」)1940(昭和15)年11月18日号、「都新聞」(四「恩給と未亡人」)1935(昭和10)年5月7日号、「信濃毎日新聞」(五「女を殴る」)1940(昭和15)年11月27日号、「相模合同新聞」(七「子供と家庭」)1941(昭和16)年3月8日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,800 字 · 10 页

青空文庫

今日の切迫した社会的実相に頓着なく、再婚すれば扶助料とりあげと定っているから偽善的な内縁関係も生じるのであろう。市は赤字だといって市電従業員の賃銀を下げたが市会では暴力までふるって市議歳費値上げを決定した。府の扶助料とりあげの記事が何となし、その実例を読者の脳裡に思い出させるのは何故であろうか。

五 女を殴る

先日、あるひとが百貨店へ行って買物をしていたら、ついそのわきのところに一組の夫婦がいた。

何かのことで一寸いさかいをしていると思ったら、良人の方がいきなり手にもっていた紙の丸めた棒のようなものをあげて、妻をポカポカと殴った。あたりにはどっさりひとがいる。衆人環視のなかで、その男は自分の女房をなぐったのであった。

そのひとはそういう今日の人の気風に竦然としたと語った。

小田急の電車の中で、パーマネントの若い女の髪をつかんで罵りながら引っぱっている男を、ぐるりから止めることもできないような雰囲気で、実にこわかったということをもきいた。

日本がずっとまだ未開だったころは、男は自分の女房をなぐって何がわるいと思っていただろうし、癪にさわるものなら男でも女でも暴力に訴えてもかまわないと思っていただろう。