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わたしのたんていしょうせつ

私の探偵小説

坂口 安吾

「宝石 第三巻第一号」1948(昭和23)年1月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,677 字 · 4 页

青空文庫

私は探偵小説が好きなのである。

私は仕事に疲れ、二三十分ごろりとねころんで休憩するとき、詰碁か詰将棋か探偵小説を読む。探偵小説の在り方はそれでいゝのだろうと思う。探偵小説を書いている人たちは自分が苦労して書いているから芸術品のように尊重されたいと考える。その気持もうなずけるが、そんな風に言う必要のないことだと私は思っているのである。

私の小説、いわゆる純文学などゝ称しているものでもそうだ。たとえば仕事に疲れた人がゴロリとねころんで、二三十分の休息によむ。詰碁や詰将棋と同じ休息用のオモチャとして読む。それでいゝではないか。色々な人々に、その人各々の様式で読まれたり受け入れられたり投げだされたりする。

純文学だから娯楽用に読んじゃいけないという規約があるわけのものではない。読む人の自由であり、そこでたとえば私が自分が好きだものだからオレも一つ探偵小説を書いてみようか、というように、休息用に純文学を読んで純文学の面白さや問題の在り方に会得するところのあった御仁がオレも一つ純文学を書いてみよう、そう思ってツレヅレに書きだす、そんな風にして純文学を書いてみようという人が現れても、私はそれもよろしいと考える。