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わたしのつくえ
私の机
岡本 綺堂
「婦人公論」1925(大正14)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,912 字 · 4 页
ある雑誌社から「あなたの机は」という問合せが来たので、こんな返事をかいて送る。
天神机――今はあと方もなくなってしまいましたが、私が子供の時代には、まだそれが一般に行われていて、手習をする子は皆それに向ったものです。わたしもその一人でした。今でも寺子屋の芝居をみると、何だか昔がなつかしいように思われます。
これも今はあまり流行らないようですが、以前は普通に用いる机は桐材が一番よいということになっていました。木肌が柔かなので、倚りかかる場合その他にも手あたりが柔かでよいというのでした。その代りに疵が附き易い。文鎮を落してもすぐに疵が附くというわけですから、少し不注意に取扱うと疵だらけになる。それが桐材の欠点で、自然に廃れて来たのでしょう。それから一貫張りの机が一時は流行しました。これも柔かでよいのと、軽くてよいのと、値段が割合に高くないのとで、一時は非常に持囃されましたが、何分にも紙を貼ったものであるから傷み易い。水などを零すと、すぐにぶくぶくと膨れる。そんな欠点があるので、これもやがて廃れました。それでもまだ小机やチャブ台用としては幾分か残っているようです。