轻松读懂日语经典作品
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わたしはいんきょではない
私は隠居ではない
吉田 茂
「文藝春秋」文藝春秋新社、1962(昭和37)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,313 字 · 13 页
何か他の場所で畳の上とか何とか考えられそうなものなのにね、牛と同じ地べたに並べられてるんだが、このほうは婆さんが多い上に誰も櫛をあてたり磨いたりする人がないもんだから、見劣りがするんだ。
「手入れが悪いね」
と云ってね、大失敗でしたよ。敬老の精神というものは、日本の美徳とされていたんだと思うが、近頃はさっぱりないようなのは困ったもんですね。どうも、云わなくても良いことを云うんでね。
その次が、片山内閣か。片山君とは何度か会ってますがね、普段つき合いがないから話がうまく運ぶかどうかな。石橋君はまあ、口が不自由だから気の毒でね、となると、あとは岸君、池田君というわけだろうが、どうです。あんまり面白い話は期待出来ないでしょう。私はイヤですよ。
回想とか回顧録とかいうものは、普通に話していても、とかく自慢話や弁解に聞えるものでね、私は好きでありませんよ。自分のやって来た長い間のことを書いておくのはいいこととは思いますがね。
「牧野伸顕回顧録」の出たのは、お宅の雑誌でしたかね。そうそう、「松濤閑談」もそうでしたかね。
牧野という人は非常に公正無私な人でね、敵というものがなかったから、ああして何んでも云えたんですがね。