轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

吉川英治『私本太平記(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:私本太平記、私本太平記。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 246,214 字 · 495 页

青空文庫

あばれ川

旅も早や、すでに三河路。

右馬介が駒をとめて。

「若殿、吉良へお立寄りなされますか」

「いや寄るまい。他日他日」

そこもよそに、通りすぎる。

三河幡豆郡地方には、足利一族の吉良、西条、一色、今川、東条などの諸党がいた。――が、海道もここまで来れば、富士、箱根はもう眼のさき。はや帰心ひたぶるな高氏だった。

かくて、二月の初め。

足利ノ庄の曹司又太郎高氏は、およそ九十日ぶりで、忍び遍歴の旅を了え、わが領国の土をふんだ。

そして、父母のいる屋形の地、一族郎党のむらがり住む足利の町へ、もう一歩で入ろうとする渡良瀬川を眼の前にしたときである。思いがけないものに彼は待たれた。――そこに屯していた一群の騎馬は、たちまち高氏主従をとりかこんで、下馬を命じ、彼に向って、執権高時の名による問罪ノ状を読みきかせた。

あばれ川

領下の者は、そこを敬称して、

「あしかが政所」

とも、また略して、

「お堀ノ内」

とも呼んでいる。

冷え冷えと青い木暗がりをつつむ広大な城戸の内は、鑁阿寺の七堂伽藍をもあわせて、裏山にまで屋形の屋根を望ませていた。いうまでもなく足利党の宗家、足利貞氏の本拠だった。