轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

13 黒白帖

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,638 字 · 233 页

青空文庫

と、これが表面の意見にも出て、内輪の議論となったことも一再でない。しかし嘆く者は去るしかなかった。そして南河内の一角は、いやおうなく吉野の重臣、四条中納言隆資の指揮下にかため直され、久子はそのいきぐるしい中にあった。彼女の思いは、ともかく病弱な正行を静かな病養か出家の身にさせ、そしておもむろに両朝の和睦をはかるようなことに献身させたいと願うのであったが、一後家の意志などは、しょせん、おこなわれもせず、ついに今日にいたったのであった。

同勢のうちの安間了現や八木法達らは、かつての湊川の生き残りである。正成のさいごの真意がわかっていない者ではない。

だが、以後の郷土事情や大勢は彼らの力ではどうにもならないものだった。彼ら湊川の生き残りとして故殿への申しわけになしうることは、正行を奉じて行くところまで行く、それ一つしか残されていなかった。

列はいま、蔵王堂の北をだらだら下がりに降りて行く。みな、かぶとの眉廂をうつむけ、そして正行の冬日にかすむ姿を時々には先頭の遠くに見ていた。

「おい、八木ノ入道」

了現は、駒横にならんでいる法達を見て小声をかけた。

「正行さまの瞼をみたか」