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あきかぜ
秋風
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,277 字 · 5 页
秋風が冷や冷やと身にしみる。
手の先の変につめたいのを気にしながら書斎に座り込んで何にも手につかない様な、それで居て何かしなければ気のすまない様な気持で居る。
七月からこっち、体の工合が良くない続きなので、余計寒がりに、「かんしゃく持」になった。
茶っぽく青い樫の梢から見える、高あく澄んだ青空をながめると、変なほど雲がない。
夏中見あきるほど見せつけられた彼の白雲は、まあどこへ行ったやらと思う。
いかにも気持が良い空の色だ。
はっきりした日差しに苔の上に木の影が踊って私の手でもチラッと見える鼻柱でも我ながらじいっと見つめるほどうす赤い、奇麗な色に輝いて居る。
こんな良い空を勝手に仰ぎながら広い「野っぱ」を歩いて居る人が有ろうと思うと、斯うして居る自分が情なくなって来る。そうした人達が羨ましい様な、ねたましい様な気がする。
それかと云って、厚着をして不形恰に着ぶくれた胴の上に青い小さな顔が乗って居る此の変な様子で人の集まる処へ出掛ける気もしない。
「なり」振りにかまわないとは云うもののやっぱり「女」に違いないとつくづく思われる。
こないだっから仕掛けて居たものが「つまずい」