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かがくがへそをまげたはなし
科学が臍を曲げた話
海野 十三
「新青年」1934(昭和9)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,453 字 · 9 页
実験者はホッとして、その手を眺めました。ところが、サア大変です。指が足りない! 美事に伸びていた四本の指が根こそぎ切り落とされ、残っているのは拇指一本! 指の無くなった跡からは、盛んに血が飛び出して来る。実験者はサッと蒼くなりました。一方の手で傷口を抑えたまま、ウンといって其の場に仆れてしまった。一体どうしたというのでしょう? 医療器だと思って安心していたのが、俄然殺人器に転じてしまったのです。駭いたのも無理がありません。
超短波メス――というのが生れたのは、それから間もないことでした。意外な失敗、それは超短波についての認識不足から起ったことでありました。しかしその思い違いが正されると、超短波はまた一つの仕事を受け持つようになりました。それは電気メスです。超短波電流をナイフ様の尖った金属片に通じ、これを肉に近づけると、面白いほど切れます。それはどれほどよく磨いだメスよりも軍刀よりも切れ味がよいのです。科学が臍を曲げると妙なことになります。
臍で思い出しましたが、臍に縁のある雷さまの話ですが、あれを避けるのに避雷針というものがあります。避雷針は屋根の上に尖った金属棒を立て、その下に銅線を接ぎ、下に下ろし、その尖端を地中に埋めます。