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かがくろん

科学論

戸坂 潤

「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页

青空文庫

アテナイは当時経済的困難と政治的動揺とのさ中にあった。この動揺に観念的に反発しようとして現われたものが、プラトン一派の貴族的・道徳的・観念論的なイデアの認識理論だったのである。このイデアの学問という理念こそ、プラトンの学問分類の本質的な動機と意義とをなすものだった(プラトンは、哲人教育を施そうとするシラクサの政治学校で、まず数学――イデアの学の入口――を課そうとしたと云われる)。科学分類への興味の高揚は、社会の歴史的画期と、夫に基く科学意識の動揺・沸騰に相応しているのである。

プラトン(又アリストテレス)が哲学的科学意識の高揚に従って、科学の分類を必要としたとすれば(尤も彼は、別に特にこういうテーマに就いて議論しているのではないが)、自然科学的な科学意識の高揚に応じて科学分類を企てたものは、ベルラムのベーコンであった。その『研究の発達』(Advancement of Learning)に於て彼は、まず人間的研究と神に関する研究とを区別し、その各々が人間の記憶と想像と理性という心理的能力に相応して分類されると主張する。かくて人間的研究は、歴史と詩と哲学とに分けられるのである。