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かがくろん

科学論

戸坂 潤

「唯物論全書 第一巻」三笠書房、1935(昭和10)年10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 142,817 字 · 278 页

青空文庫

物質は今や空間に於てあり、そして夫が時間に於て運動する。処が空間という範疇が又対立者の矛盾的統一なのである。空間は或る意味に於ては無いのである。吾々は空間を掴むことは出来ない。それは凡ゆる物体によって自由に占められることが出来る、durchdringen され得る。だがそれでは全くの無かと云えば、物の形こそ空間なのだ。丁度光のように、それ自身は光っていないに拘らず、之が当ったものを光らせるのである。――時間も亦そうであって、普通時間は流れると考えられるが、それにも拘らず時間は止まっていて物をその上で流すのである。時間は永遠に対する対立物であるにも拘らず、時間そのものは永遠の静止だとも考えられねばならぬ。時間は無始無終の永久に閉じることのない線でなければならぬに拘らず、永遠の静止であるからには、閉じたものでなければならぬ、等々。――そしてこうした空間と時間とが又相互に対立物であり、永久に食い違ったものであるにも拘らず、却って空間的運動に於て現実的には統一されている。

だが以上は、自然弁証法の云わば哲学的な部分に他ならなかった。自然に於ける哲学的諸範疇の弁証法性を指摘したに止る。