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くうちゅうひょうりゅういっしゅうかん
空中漂流一週間
海野 十三
「名作」1939(昭和14)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,324 字 · 35 页
それは六条が食糧の入っている戸棚を知っていて、それを引出しては分けあって喰べたからである。しかし困ったのは、水が一滴もなくなったことである。二人は、寝たままで、ときどき口を利いた。
「おい、キンチャ。もうどの辺を漂流しているかなあ」
「この気球は、最初北へいって、その翌日は西へ流れた。そしてもう四、五日にはなるだろう。すると、これはどうも外蒙かザバイカル区の辺まで流れて来ているよ」
「そんなになるかなあ。よし今日はなんとかして腕の力で起きあがる練習をして、一度ゴンドラの外をのぞいてみたいものだ。俺は、太平洋の真中あたりへ出ているような気がするが」
そしてまた、二人は昏々と眠った。
どれだけ眠ったか、飛行機の爆音がするので、二人は目が覚めた。気をつけていると、飛行機は、ゴンドラの周囲をぐるぐる廻っているらしい。ときどき、ゴンドラの縁と気球との間に、飛行機のような形が見えるのだけれど、二人とも視力がよわっていて、はっきり見えない。
そのうちに、サイレンらしいものが鳴るのが聞えた。
「気のせいか、××陣地のサイレンと同じ音色だが……」
「なにをいうんだ。あれはザバイカル管区の号笛だ。