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くうきおとこ

空気男

海野 十三

「モダン日本」1937(昭和12)年1月~8月、10月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,792 字 · 10 页

青空文庫

キャーッ。

夕立雲

妻君は夫博士が猫の神にとうとう空気に変えられてゆかれてしまったものだと思いこみ、非常に恐怖にとらえられた。

発明の古い器械で身体の見えなくなった博士は外に出て、洋服についている硝子の粉を払いながら、さてこれからどうしたものだろうと考えた。

「ウン、屋根の上で日向ぼっこでもしながら、これから先のことを考えよう」

彼は屋根へのぼって、暖い瓦の上にゴロリと横になった。

いよいよ考えようと思っているうちに、博士は日頃の疲れで、早くもグッスリ睡ってしまった。

そのうちに夕立雲が出てきて、ザアザアと雨が降りだした。ズブ濡れになったところで博士はやっと目を覚した。

雨が降っては、外が歩けないから、清家博士は靴をブラ下げたまま、屋根伝いに物干台から家の中に入った。

階段を下りてゆこうとすると、下から妻君が現れた。彼は習慣でハッと思った。でもすぐ気がついて妻君には彼の姿が見えないんだから、恐れるところはないと思って、悠々階段を下っていった。

すると妻君がいきなり目を見開いていった。

「――ああ貴郎ア、こんなところにいたんだネ。ウーム、この虫けら奴」