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くうしゅうかのにほん

空襲下の日本

海野 十三

「日ノ出 付録 國難來る! 日本はどうなるか」1933(昭和8)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,527 字 · 30 页

青空文庫

「聴音隊はどうです」

帝都防空配置図

「聴音隊はその内側に並べてあるが、これも東京を三重四重に包囲している。一番外側の聴音隊は、北から西へ廻って云ってみると、埼玉県の粕壁、川越、東京府へ入って八王子、神奈川県の相模川に沿って鎌倉へぬけ、観音崎までゆく。浦賀水道にも船を配して聴いている。千葉県へ入って、木更津から千葉をとおり、木下、それから利根川について西へ廻り、野田のすこし北を通って元の粕壁へかえるという線――この線以内に聴音隊が配置されてある」

「防護飛行隊が、監視哨と聴音隊との中間にいるわけでしたね」

「そうだ。立川、所沢、下志津、それから追浜というところが飛行隊だが、命令一下直ちに戦闘機は舞い上って前進し、そこで空中戦を行うのだ」

「その内側が、われわれ高射砲隊ですか」

「その通りだ。大東京の外廓以内に、到るところ、高射砲陣地がある。ことにこの上野公園の高射砲陣地は、もっとも帝都の中心を扼する重要なる地点だ。われ等の責任は重いぞ」

そう云ってK中尉は、天の一角を睨んだ。漆を融かしたような皐月闇の空に、怪鳥の不気味な声でギャアギャアと聞えた。

そこへバタバタと靴音がして、伝令兵が飛んできた。