轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页

青空文庫

「弦三、お前の帰りが遅いので、お母アさんが心配してるぞ」父親は、呶鳴りたいのを我慢して、やっと、そう云った。

「弦ちゃん、明日の晩でも、うちへ来ないか、すこし手伝ってもらいたいものもあるんだが……」黄一郎が、兄らしい心配をして、引きよせて意見をしようという心らしかった。

「このごろ、ずっと忙しいんですよ、兄さん」弦三は、はっきり断った。

「なにが、そんなに忙しいんだい」父親が、痛いところへ触られたように喚いた。

「工場が忙がしいんです」

「工場が忙がしい? お前の仲間に訊いたら、一向忙しくないって云ってたぜ」

「お父さん、僕だけ、忙しいことをやっているんですよ」

「あなた、もういいじゃありませんか、お誕生日ですから、ほかの事を仰有いよ」母親が危険とみて口を出した。

「うん、大丈夫だよ」父親は強いて笑顔をつくった。セメントのように硬い笑顔だった。

「今夜は遅くなったとは思ったんですが、今夜中に仕上げて、お父さんのお誕生祝にあげようと思って、ホラこれ! これをあげますよ」そう云って弦三は、新聞紙包みを、父親の方へヌッと差出した。

「なに、誕生祝だって」長造はすっかり面喰ってしまった。