轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

「朝日」1932(昭和7)年5月~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 95,012 字 · 189 页

青空文庫

「駅長、扉を下ろせ!」

「扉を、し、め、ろッ」

そろそろ、空気は険悪になって来た。

片隅では、渋皮の剥けた娘をつれた母親が眉を釣りあげて怒っていた。

「あなた、女連れだと思って、馬鹿にしちゃいけませんよ」

「いッヒ、ヒ、ヒ、ヒッ。こういう際です。仲よくしましょう。今に、えらい騒ぎになりますぜ、そのときは……」

酒を呑んでいるらしい羽織袴の代書人といったような男が、汚い歯列を見せて、ニヤニヤと笑った。

「皆さん。静粛にして下さい。さもないと、出ていって頂きますよ」

駅長が高いところから怒鳴った。

「出ろ! とはなんだッ」

「もう一度、言ってみろッ!」

「愚図愚図ぬかすと、のしちまうぞ」

先刻の怪しい一団が、駅長の声を沈黙させてしまった。

そこへ地下電車が、やっと来た。

弦三は、背筋になにか、こう冷やりとするものを感じたが、其儘、車内の人となった。

新宿まで、この地下鉄で行けると思ったことも、誤りだった。須田町までくると、無理やりに下ろされちまった。コンクリートの、狭い階段をトコトコ上ってゆくと、地上に出た。

「横断する方は、こっちへ来て下さい」

「自動車は、警笛を鳴らしながら走って下さい。