轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
まどにさすかげ
窓にさす影
豊島 与志雄
「小説公園」1952(昭和27)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,068 字 · 26 页
地袋の前の板敷から、それを拾い上げてみると、毬のところが欠けていた。そのころころした毬を、掌にのせて眺め、それから、窓を開いて庭に投げ捨てた。これでいいと思った。
広間の方へ私も行ってみた。少し頭痛がするような気分だった。廊下の曲り角で、柱につかまってちょっと佇んだ。すぐ前方の、広縁の籐椅子のところに、母とN叔父さんの話声がしていた。
「少し落着いたら、縁談の方も、なんとかまとめましょうや。」
「でも、すぐにどうというわけにはまいりませんでしょう。」
「だから、まあ約束だけでもね。」
「なにしろ、あのような我儘者ですから、わたくしとしましても、早く身を堅めてほしいと思っております。宅ともよく相談してみましょう。」
「わたしからも話してみますよ。」
そして二人は向うへ立って行った。
兄の縁談のことだった。それは、祖母が寝つく頃からあった話のうちの一つで、私もうすうす聞いていた。でも、今、そのことが持ち出され、それを立聞きなどしたことに、私は不愉快だった。
広間では、飲み食いと談笑とが賑かに続いていた。仏間との間の襖はすっかり開け放してあった。廊下にはいろんな物がごたごた並んでいたので、私は広間の横手から仏間へはいって行った。