轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
けいば
競馬
織田 作之助
「改造 第二十七巻第四号」改造社、1946(昭和21)年4月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,134 字 · 24 页
人から聴けば臍の緒も煎じ、牛蒡の種もいいと聴いて摺鉢でゴシゴシとつぶした。
しかし一代は衰弱する一方で、水の引くようにみるみる痩せて行き、癌特有の堪え切れぬ悪臭はふと死のにおいであった。寺田はもはや恥も外聞も忘れて、腫物一切にご利益があると近所の人に聴いた生駒の石切まで一代の腰巻を持って行き、特等の祈祷をしてもらった足で、南無石切大明神様、なにとぞご利益をもって哀れなる二十六歳の女の子宮癌を救いたまえと、あらぬことを口走りながらお百度を踏んだ帰り、参詣道で灸のもぐさを買って来るのだった。それでも一代の激痛は収まらず、注射の切れた時の苦しみ方は生きながらの地獄であった。ロンパンがなくなったと気がついて、派出看護婦が近くの医者まで貰いに走っている間、一代は下腹をかきむしるような手つきをしながら、唇を突き出し、ポロポロ涙を流して、のた打ち廻るのだ。世の中にこんな苦痛があったのかと、寺田もともにポロポロ涙を流して、おろおろ見ている。一代は急に、噛んで、噛んで! と叫んだ。下腹の苦痛を忘れるために、肩を噛んでもらいたいのだろう。寺田はガブリと一代の肩にかぶりついた。