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だいよんかいきゅうのぶんがく

第四階級の文学

中野 秀人

「文章世界 15巻9号」1920(大正9)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,065 字 · 9 页

青空文庫

けれども何事をも究め尽そうとする事は、此の感興を強める所以ではないか。画を描くに当っても、解剖学の知識が必要である様に、文学をやるにも社会組織に対する見識は必要だ。殊に現代に当ってはあらゆる科学が焦点に集って燃えようとして居る。経済でも道徳や宗教や政治の理解なしに知る事は出来ない。真に社会組織を知ると云う事はそれが芸術であろう。吾々は小さい芸術をぶっこわして大きな芸術を創らなければならぬ。

第四階級の文学は、泣言を云ったり失恋したり貧困したりする者に同情してはならない。何麼に悲しい事辛い事があろうとも、白を切って澄まして居なければならぬ。現代人は何処までもエゴイストである。此のエゴの重荷に堪えない人は、路傍に坐して悲しむ事なく猜むことなく、通行者を眺めるがよい。懺悔などは為ない方がいい、亦ほんとうに出来るものでもなければ、ほんとうに聞いて呉れる人もない。現実に降ってもならないが現実を踏み外してもならない。吾々は一切の救を求めてはならない。自己を凝視してじっと考えるがいい。救云々を云う改造一論者が可笑しくなる。

「自分の事は自分でお考えなさい。」之は近代作家が、様々な口調で、様々な場合に使う言葉である。