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だいよんかいきゅうのぶんがく
第四階級の文学
中野 秀人
「文章世界 15巻9号」1920(大正9)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,065 字 · 9 页
実に文壇の本流は第四階級を透して正義と自由とに憧れて流れる。
ああ私は遂に第四階級の偏見に囚われて了った。けれども Into the people と云う言葉を熱愛する私には致し方がない。第四階級の文学は意地悪るでもあれば、気狂じみても居る。生存競争弱肉強食の一切の矛盾と不合理をば見守って居る。国際聯盟が思想専制である事をよく知って居る。正義と自由とを主張するけれども、同情したり慰め合ったりはしない。理想や愛を抱いて居るけれども、現実だけしか語らない。虐げられたる者を残忍な心持で見て居る。それを虐げられたる者への唯一の声援だと心得て居る。誇張せられた感情の中に、泣いたり笑ったりする事を最も恐れる。冷静な心で何事でも堪えて行こうとする。けれども一切の芸術は議論や主張ではない。ミレーは只の百姓ではなかった。ゾラは只のリアリストではなかった。美! 実に美こそ、亦第四階級の熱愛するものではないか。生活の苦闘に悩まされた第四階級は、唯一の活路として美の世界に慰めを求めようとする。彼等の美には贅沢な撰り好みがない。切実だから光る。真剣だから徹して居る。解放せられたる美である。