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べにすずめ

紅すずめ

小川 未明

「早稲田文学」1921(大正10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,210 字 · 9 页

青空文庫

そしてこちらの林から、またあちらの林へと伝って歩いていました。

ちょうど、このとき、いつかのからすにすずめは出あいました。

「からすさん、からすさん、いいところでお目にかかりました。お達者でなによりけっこうでございます。」と、すずめは呼びかけました。

からすは、頭をかしげて、じっとすずめを見ていましたが、

「ああ、いつかのすずめさんでしたか。たいへんにあなたの姿は変わったので、ちょいとわかりませんでした。翼の色がすっかり赤くなりましたね。」と、からすはいいました。

すずめは、驚いて、自分の身のまわりを見まわしながら、

「私が、赤くなったとおっしゃるのですか?」と聞き返しました。

「あなたには、それがわからないのですか。」と、からすは笑いました。

「なるほど、私の姿は変わりました。」

「あまり空を飛んで、日に焼けたんですよ。」と、からすはいいました。

すずめは、急に悲しそうな声を出して、

「私は、早く、太陽のおそばへゆきたいと思うんです。そして、なにかお役にたつことをして、りっぱな鳥となってきたいと思うのです。それで、いつかのこまどりを探しているのです。」と、答えました。