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べにすずめ

紅すずめ

小川 未明

「早稲田文学」1921(大正10)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,210 字 · 9 页

青空文庫

ある日のこと、こまどりが枝に止まって、いい声で鳴いていました。すると、一羽のすずめが、その音色を慕ってどこからか飛んできました。

「いったい、こんなような、いい鳴き声をするのが、俺たちの仲間にあるのだろうか。」と、すずめは不思議に思ったのです。

すずめは、すぐ、こまどりがとまって鳴いているそばの枝に下りてとまりました。そして、鳴いている鳥をつくづく見ると、姿といい、大きさといい、また、その毛色といい、あんまり自分たちとはちがっていなかったのです。

すずめは、考えてみると不平でたまりませんでした。なぜ、自分たちにも産まれてから、こんないい鳴き声が出せないのだろう。同じように翼があり、またくちばしがあり、二本の足があるのに、どうして、こう鳴き声だけがちがうのだろう。もし、自分たちも、こんないい声が出せたなら、きっと、人間にもかわいがられるにちがいないと思いました。

すずめは、心の中に、こんな不平がありましたけれど、しばらく黙って、こまどりの熱心に歌っているのに耳を傾けて聞いていました。すると、またこのとき、このこまどりの鳴き声に聞きとれたものか、どこからか一羽のからすが飛んできて、やはりその木の近くの枝に止まりました。