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なっとうかっせん

納豆合戦

菊池 寛

「赤い鳥」1919(大正8)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,774 字 · 8 页

青空文庫

「おい、お前は、いくらの納豆を買ったのだ。」とお巡査さんが、怖しい声で聞きました。いくら餓鬼大将の吉公だといって、お巡査さんに逢っちゃ堪りません。蒼くなって、ブルブル顫えながら、

「一銭のです、一銭のです。」と、泣き声で言いました。すると、お巡査さんは、

「太い奴だ。これは二銭の苞じゃないか。この間中から、このお婆さんが、納豆を盗まれる盗まれると、こぼしていたが、お前達が、こんな悪戯をやっていたのか。さあ、交番へ来い。」と、言いながら、吉公を引きずって行こうとしました。吉公は、おいおい泣き出しました。私達も、吉公と同じ悪いことをしているのですから、みんな蒼くなって、ブルブル顫えていました。すると、吉公はお巡査さんに引きずられながら、「私一人じゃありません。みんなもしたのです。私一人じゃありません。」と言ってしまいました。するとお巡査さんは、恐い眼で、私達を睨みながら、

「じゃ、みんなの名前を言ってご覧。」と言いました。そう言われると、私達はもう堪らなくなって、

「わあッ。」と、一ぺんに泣き出しました。

すると、傍にじっと立っていた納豆売のお婆さんです。私達が、一緒に泣き出す声を聞くと、急に盲目の眼を、ショボショボさせたかと思うと、お巡査さんの方へ、手さぐりに寄りながら、