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みどりいろのとけい

緑色の時計

小川 未明

「幼年ブック」1948(昭和23)年6月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,276 字 · 7 页

青空文庫

これを見たとき、さすがに、ぼくは、世間には、こんな生活もあるのかと考えられて、なんとなくいたたまらない気持ちがしました。

「さあ、もう帰ろうよ。」と、ぼくは、弟をうながして、二人は、さっききたときの道をもどったのであります。

星の光が、うるんで見える晩でした。家へつくと、つかれて、がっかりしました。

「おじさんは、うそつきだね。」と、弟は、憤慨しました。

「あの、S町で、なかったかもしれないよ。」と、ぼくが、いいました。

「どうして。」と、弟は、いぶかしそうに、問いかえしました。

「だって、あのあたりに、外国人なんか、いそうもないじゃないか。」

そう、ぼくが、いうと、なるほどそうだねと、いわぬばかりに、弟は、頭をかしげながら、

「こんど、おじさんがきたら、よく聞いてみようね。」といいました。

そののち、どうしたのか、しばらくおじさんは、見えませんでした。ある日のこと、とつぜんおじさんが、病院でなくなられたという知らせがありました。これを聞いて、みんなが、どんなにおどろいたかしれません。

「まあ、あのおわかさで、なんのご病気でしたでしょう。」と、おかあさんは、なみだぐまれました。