轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

わなにかかったひと

罠に掛った人

甲賀 三郎

「探偵」駿南社、1931(昭和6)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,112 字 · 21 页

青空文庫

「確かにあります。待って下さい。今おつりを出すさかいにな」

「剰金なんかいらん。取っとけ」

「えッ、それはほんまかいな」玉島は仰天しながら、「友木はん、あんたは貧乏してても、どことなく他の人と違うと思ったが、やっぱり豪い。感心なものや」

「黙れ」友木は一喝した。「それでもう云う事はないか」

「何にも云う事はおまへん。お礼しますがな」

玉島はペコンと頭を下げた。

「よしッ。それではこっちに云い分があるぞ。おのれ、よくも永い間俺を苦しめたなッ!」

友木は拳を固めて、玉島がペコンと下げた横顔を張り飛ばした。

玉島はよろよろとして、情けなさそうに顔をしかめながら、

「あ痛! ああ、これがおつりの分かいな」

「何をッ!」

癪に障った友木はもう一つ玉島を張り飛ばした。

「伸子、さあ帰ろう」

友木は伸子を促がして、悠々と凱旋将軍のように、玉島邸を引上げた。

五

家に帰りついた友木は、簡単に伸子に金が手に這入った訳を話した。彼は然し拾った金をそのまま着服したのだとは云わなかった。思いがけなく大金を拾って、落主から礼金を貰ったのだと云った。伸子は無論それを信じた。

「好かったねえ」