轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
びしょうじょ
美少女
「月刊文章」1939(昭和14)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,623 字 · 11 页
椅子に腰をおろすと、裾から煽風機が涼しい風を送ってよこして、私はほっと救われた。植木鉢や、金魚鉢が、要所要所に置かれて、小ざっぱりした散髪屋である。暑いときには、散髪に限ると思った。
「うんと、うしろを短く刈り上げて下さい。」口の重い私には、それだけ言うのも精一ぱいであった。そう言って鏡を見ると、私の顔はものものしく、異様に緊張してぎゅっと口を引きしめて気取っていた。不幸な宿命にちがいない。散髪屋に来てまで、こんなに気取らなければいけないのかと、われながら情なく思った。なお鏡を見つめていると、ちらと鏡の奥に花が写った。青い簡単服着て、窓のすぐ傍の椅子に腰かけている少女の姿である。そこに少女の坐っているのを、そのときはじめて知ったわけである。私は、けれどもあまり問題にしなかった。女弟子かな? 娘かな? ちらとそう思っただけで、それ以上、注意して見なかった。しばらくして、少女が、私の背後から首筋のばして、私の鏡の顔をちょいちょい見ていることに気附いた。二度も、三度も鏡の中で視線が逢った。私は振り向きたいのを我慢しながら、見たような顔だと思っていた。私が、背後のその少女の顔に注意しはじめたら、少女のほうでは、それで満足したようなふうで、こんどは、ちっとも私のほうを見なかった。