轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
にくたい
肉体
豊島 与志雄
「文芸」1935(昭和10)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,219 字 · 26 页
胸に裸のまま抱きしめて、この自分の身体でもって、あらゆるものから防護してやりたいのです……。
夕方、医者がまた来まして、危険な状態とのことでした。私は万一を慮って、小野君に速達便を出し、手筈をきめておいて、家にかけ戻り、小野君が伊豆の方に絵を書きに行くからついて行くことにした……二三日、という風にとりつくろいました。なさけない半ば捨鉢な気持が動いていました。
夜半に、子供は乳を求めだしました。一口二口吸っては、またぐったり眠り、暫くするとまた乳を求めます。そういうことが、二時間ばかり繰返されて、あとはもう死のように静かな眠りとなりました。私は始終氷をかきに立ち働きました。トキエは子供の側に、膝をくずして坐っていました……乳をやるために、そしてその顔を見守るために。全く、それだけが彼女の仕事のようでした。その泰然とした、そして滑かな美しい肉体のなかに、どういう考えがあるか、私は探ろうとしましたが、何にも掴めませんでした。彼女は時々、心持ち眉をひそめた眼付を私の方に向けましたが、私達は別に話すべきものも持っていませんでした。時折、表を自動車が通って、その響きが室に伝わる度に、私は子供の寝息をうかがい、そして何ということなしに立上ったりしました。