轻松读懂日语经典作品
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はだいろのつき
肌色の月
久生 十蘭
「婦人公論」中央公論社、1957(昭和32)年4~8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 50,706 字 · 101 页
Uという女性は、あなたではないかと思ったことがあります。父には言いませんでしたが、私があなたのどこに惹かれるのか、よく知っているので、父の心情は、手にとるようにわかりました……父は不幸な再婚を後悔していたし、家庭がみじめになればなるほど、あなたのほうへ向いて行ったその気持も……」
久美子は、たまりかねて遮った。
「ああ、そのことなら、もう結構よ」
隆は、はっと眼の中を騒がせると、搏たれたように急に口を噤んだ。
「そんなことより臨床訊問……このうえ私からなにを聞きだそうというのかしら。言うだけのことは言いつくしたつもりだけど」
「あの連中がコソコソ言っているのを耳に挟んだのですが、あなたの供述書で逮捕状を請求したら、こんな不完全な内容で令状が出せるかと、令状係の判事に拒絶されたそうです。早急に死体があがる見込みがないので、伊東署の捜査本部を解散して、東京へ引揚げるといっていますから、訊問といっても、行掛り上、一応、形式をととのえるという程度のことではないでしょうか。そのほうはたいしたことはないでしょうが、私が心配しているのは、あなたのことなんです……心臓衰弱の気味だから、乗物に乗るのは、ちょっと無理です。