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かんぞうせんせい

肝臓先生

坂口 安吾

「文学界 第四巻第一号」1950(昭和25)年1月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,194 字 · 46 页

青空文庫

天下に知名の学者から医局の若い学者まで、一門の精鋭をすぐった晴れの席、一門の威風は堂々と場にみち、東海の辺地に足の医者をもって自ら任じる先生は、うれしいやら、心細いやら、同門の威風にすくむ思いであった。

会がはじまると、指名をうけた人々の挨拶があったが、絶えて久しい出席のために、先生も指名をうけて、挨拶しなければならなかった。

「頼朝が流され日蓮が流された離れ小島のようなこの町にも、戦争以来、温泉療養所ができまして、あたかも当物療科の延長の感があり、そこの諸先生方と親しくしていただきまして、まるで医局にいるような気分にひたり、心からうれしい日夜をすごさせていただいております。孤島のようなところに開業しておりましたので、謝恩会にもいつも欠席しておりましたが、温泉療養所の先生方のおかげで医局のなつかしい気分をよびさましていただき、本日は矢も楯もたまらず参りましたが、大先生の晴れやかなお顔を拝し、又、三河教授の日夜お忙しいのに御健康そのもののお顔を拝したり、先輩の先生方や、医局の先生方にもお目にかかれて、私も十五六年は若返った思いにうたれ、今浦島の感なきを得ないのであります。