轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
のうのなかのれいじん
脳の中の麗人
海野 十三
「日の出」1939(昭和14)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,774 字 · 28 页
この手帖の主人公と別れてしまったようだが、その後どうしているのであろうか。とにかく、このYという女は、手帖の主人公をたいへん恋い慕っているのだ。その主人公の筆蹟が、彼の筆蹟とおなじであるのは、一体どうしたわけであるか。
この疑問をとくため、彼は或る日博士をたずねて、この問題を出した。
「えっ、そんなものがあったかね」
「ありますとも。ここに持ってきました」
彼は青い手帖をとりだした。
博士は、深刻な顔をして、手帖の頁をくっていたが、俄に笑いだした。
「ああ、これは儂のところの助手で谷口という男の手帖ですよ」
「でも、その手帖は、私の机の中にあったんです」
「そ、それですよ。じつは、谷口を、君のアパートの引越のとき、手伝いにつれていったんです。そのときポケットからとりおとしたのを、他の誰かが拾って、宮川さんのものだと思って、机の中に入れたのでしょう。いや、それにちがいありません」
「それはおかしいですね。筆蹟が、私のにそっくりなんです」
「こういう字体は、よくあるですよ。なんなら谷口をよんでもいいが、いま生憎郷里へかえっているのでね」
「私は、そのYという女に会いたくてしかたがないのです」