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しぜんかいのしまもよう

自然界の縞模様

寺田 寅彦

「科学」1933(昭和8)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,541 字 · 23 页

青空文庫

ある条件のもとには、偶然的にでき始めた凸凹が次第に成長し、その角の長さと粒の大きさとには一定の関係がある事、その大きさにある上下の限界のある事などがだいぶわかって来たが、角の数を決定する根本原理についてはまだ充分な解釈を下すに至らなかった。しかしこの物の形の基礎には立体的正多面体の基本定型が伏在していて、条件によってその中の格好なものが成長の萌芽となるであろうという想像がついたようである。この点ではやはり、物理界におけるいろいろな週期的不安定の現象、たとえば弾性板の週期的反転の現象などとの類似を思わせる。

金米糖といくぶん似たものは、「噴泉塔」と称せられるものである。温泉の噴出する口の周囲に、水に溶けた物質が析出沈積して曲線的円錐体を作る。そうして、その表面に実にみごとな放射状ならびに円心状に週期的な凸凹を作ることがある。この場合にこれらの週期性を決定するものが何であるかと考えてみる際に、いちばん手近なものとして気のつくのは、液の熱的対流によって生ずる週期的円筒形渦流である。ともかくもこの場合に著しい対流の起こることは確実であるので、それがそういう場合に普通な柱状渦を成して、その結果温度の週期的排列を生じ、従って沈積も空間的に週期的になる。