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ほどう

舗道

宮本 百合子

「婦人之友」1932(昭和7)年1~4月号(著者検挙のため未完)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,745 字 · 70 页

青空文庫

「おい、社はこれでいくらぐらい儲ける魂胆なんだろうな」

などと云った。

「俺たちに何のかかわりあらんや! だ」

「〔六十二字伏字〕」

「〔六十七字伏字〕」

××○○会社の女事務員たちも、直接この事件については冷やかな態度で、格別みんなの話題にものぼらなかった。ぼんやりとではあるが、〔十五字伏字〕投資している資本家どもの利益になるばかりだと分って、新聞の空騒ぎに対して一般的な反感があった。

昼休みのとき、濠端を四五人でぶらぶら歩いていたら、ちょうど号外売りがやって来た。腰の鈴を振りながら車道と人道とのすれすれのところを走って行く後姿を眺めて柳が誰にともなく、

「ブルジョアどもはこすいわねえ」

と云った。

「早くっから蜻蛉の模様なんか売り出させてさ。――今年は蜻蛉の模様がこう流行るから、きっと戦がある前徴だなんて云いふらさせて……」

ミサ子でさえ、そのときは柳の言葉を大して注意してきいてはいなかった。

この頃になって××○○会社の女事務員たちの間に不平が出て来た。残務が目立って殖えて来たのだ。××○○会社は満州に重要な姉妹会社をいくつも持っているし、国内的に見ても、軍事工業関係の製粉、染料、肥料、金属などの工場をいくつか経営していた。