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えいほんどじょうりくせんのぜんや

英本土上陸戦の前夜

海野 十三

「新青年」1941(昭和16)年 2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,727 字 · 72 页

青空文庫

アンたちも、最後の職場を死守しているのだ。しかし、これは、えらいことになるぞ!

果して、それから五分間ばかり経つと、砲撃目標は、俄然跳躍した。砲弾は、この研究所の前方に落ち、それから、彼等の頭上をとび越えて、後の山上に落ちて、ものすごい音響と閃光とそして吹き倒すような爆風とを齎した。

「あぶない」仏は、屋上に腹匍った。

とたんに、どどどどーンと、ぶっつづけに大爆音が聞え、耳はガーンとなってしまった。そして、あたりは火の海となったかと思われた。それをきっかけのように、ひっきりなしに砲弾と爆弾とが降って来た。身を避けるものは何もない。彼は灼鉄炎々と立ちのぼる坩堝の中に身を投じたように感じた――が、そのあとは、意識を失ってしまった。

不図、気がついたときには、あたりの風景は一変していた。附近一帯は、炎々たる火焔に包まれていた。屋上は、半分ばかり、どこかへ持っていかれてしまっている。

彼は、むくむくと起きあがって、空を見上げた。高射砲弾は、盛んに頭上で炸裂していた。照空灯と照明弾とが、空中で噛み合っていた。その中に、真白な無数の茸がふわりふわりと浮いていた。