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くさをわけて

草を分けて

小川 未明

「せうがく三年生 13巻3号」1936(昭和11)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,772 字 · 6 页

青空文庫

「辰夫、金魚を買ってもらってこいよ。」と、ただ一言、政二くんは、いったきりです。

辰夫くんとお姉さんは、明るい金魚屋の前へ立ちました。たくさんの色とりどりの金魚が浅いおけの中で泳いでいました。

「まあきれいなこと。」と、お姉さんはおっしゃいました。しかし、ほんとうなら、日が暮れると、すべての魚たちは、水草の蔭に隠れて、じっとして眠るのであるが、この金魚たちは電燈の光に照らされて、子供らの出す、さおの先についている針に追いまわされているのでした。

「辰夫さん、あんたも釣ってごらんなさい。」と、お姉さんはおっしゃいました。

辰夫くんは、無理やりに、針の先にひっかけて、金魚を釣る気になれなかったのです。

「かわいそうだもの、僕、金魚をほしくないよ。」といって、辰夫くんは、その前からはなれたのでした。

「せっかくきて、つまらないじゃないの、なにかほかのものを買ってあげましょうか。」と、お姉さんはおっしゃいました。

二人は、並んだ店を見ながら、歩いていました。

「あれは、なんですか?」

「海ほおずきよ、きれいですね。」

「僕、あんなの、ほしいけど。」

「女の子の持つものよ。