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くさはらのゆめ

草原の夢

小川 未明

「教育研究」1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,095 字 · 9 页

青空文庫

そして、ほくろのないのは、悪魔だから、そいつを殺してやるんだ。すると、孝ちゃんの病気もなおれば、また、姉さんの病気もなおってしまうだろう。」

「悪魔は、ほくろのあることを知っているだろうか?」

「知っていたっていいよ。僕は、いつか孝ちゃんが転んで、どこかにちょっと傷あとのあるのを知っているのだ。」と、善ちゃんが、いいました。

「どこに?」と、正ちゃんが、たずねた。

「悪魔が聞いているといけないから、だまっていよう。」と、善ちゃんは、注意深くいいませんでした。

「それにしたって、二股のおんばこを、見つけなければだめだろう……。」と、私がいったので、

「みんなで、どうしても、二股のおんばこを見つけよう。」と誓って、三人は、熱心に草原を、二股のおんばこを見つけに歩きまわったのです。

「見つかれしょ、見つかれしょ、二股のおんばこ見つかれしょ。」

白い雲は、無心に空を流れてゆきました。いろいろの虫が草原から飛び立ちました。キチキチと翅を鳴らして、ばったが飛ぶかと思うと、大きなかまきりが、頭をもたげました。そのほか、美しいちょうが花にとまっていたり、へびが光る体をあわてて、草深い中に隠すのもありました。