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くさまくら
草枕
一个画家厌倦了人情世故,独自钻进深山。他想找一处能喘口气的地方,却在旅途中发现——原来诗和画,都在眼前。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,485 字 · 170 页
せっかくの雅境に理窟の筋が立って、願ってもない風流を、気味の悪るさが踏みつけにしてしまった。こんな事なら、非人情も標榜する価値がない。もう少し修行をしなければ詩人とも画家とも人に向って吹聴する資格はつかぬ。昔し以太利亜の画家サルヴァトル・ロザは泥棒が研究して見たい一心から、おのれの危険を賭にして、山賊の群に這入り込んだと聞いた事がある。飄然と画帖を懐にして家を出でたからには、余にもそのくらいの覚悟がなくては恥ずかしい事だ。
こんな時にどうすれば詩的な立脚地に帰れるかと云えば、おのれの感じ、そのものを、おのが前に据えつけて、その感じから一歩退いて有体に落ちついて、他人らしくこれを検査する余地さえ作ればいいのである。詩人とは自分の屍骸を、自分で解剖して、その病状を天下に発表する義務を有している。その方便は色々あるが一番手近なのは何でも蚊でも手当り次第十七字にまとめて見るのが一番いい。十七字は詩形としてもっとも軽便であるから、顔を洗う時にも、厠に上った時にも、電車に乗った時にも、容易に出来る。十七字が容易に出来ると云う意味は安直に詩人になれると云う意味であって、詩人になると云うのは一種の悟りであるから軽便だと云って侮蔑する必要はない。